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元暴力団員の男性が更生支援の一般社団法人を設立し、出身地の栃木県栃木市で自立準備ホームを運営している。非行に走り、行き場をなくした人を受け入れ、二人三脚で再犯防止に取り組む。「人は変われることを自分の背中で伝えたい」と話している。(読売宇都宮支局 脇上怜大) 男性は一般社団法人「希望への道」代表理事の遊佐学さん(50)。元暴力団員で服役経験を持つ。薬物依存に苦しんできた。 自立準備ホームは2階建ての民家を活用しており、「俺ん 家(ち) 」と名付けた。入居者と寝食を共にし、早朝から仕事に向かう10歳代の少年1人を見送った後、掃除や夕飯作りをこなす。少年が帰宅すると2人で食卓を囲み、その日のできごとや進路を語り合う。 遊佐さんは暴走族に所属するなど荒れた少年時代を過ごし、24歳で暴力団員となった。覚醒剤を乱用して幻聴に苦しめられ、30歳のとき、自宅マンション5階から身を投げた。右足には後遺症が残った。 組織を破門になった後、「二度と薬物には手を染めない」と心に決めて栃木市に戻った。しかし、定職にはつけず、結局、覚醒剤の売人となった。2008年と11年に覚醒剤取締法違反で摘発され、服役した。 転機となったのは2度目の逮捕時だ。元暴力団員の牧師の手記に出会い、更生した姿が励みになった。「人生最後のチャンス」と前を向くことができたという。2年後に出所し、依存症回復施設や教会でボランティアとして働くように。「自分も居場所を作る側になりたい」との思いが募り、自立準備ホームを設立することにした。 開設資金は約530万円。貯金やクラウドファンディングで集めた。ただ、気に入った物件があっても購入目的を伝えると販売を渋られた。10件近く断られた末に購入にめどがつき、昨年12月に自立準備ホームをオープンさせた。今秋、新たに2人を迎える予定だ。 「遊佐さんは自身の過去を語る際に恥じながら謙虚に話す」。こう語るのは、田園調布学園大の長谷川洋昭教授(司法福祉)。遊佐さんと更生支援の活動で知り合い、「希望への道」の理事にも就いた。「遊佐さんの姿は、(更生を目指す)入居者の心を打つだろう」とエールを送っている。
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