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シリーズ元気の素2008年2月18日掲載





                                     
                                            インタビュー そのU

    
         小さな生き物たちの声に耳を傾け
         “自然との共生を”
          
「東大阪野鳥の会」会長 岩本 昭廣 さん


 野鳥に魅せられ、「東大阪野鳥の会」のリーダーの岩本さん。活動の拠点となっている“グリーンガーデンひらおか”で、鳥との出会いから生駒の森の現状や自然との共生にいたるまで熱っぽく語ってもらった。



キジバトとの出会い


 幼いころは若江に住んでいました。近くの鏡神社にヒヨドリの群れがよくきたので、追い掛け回して遊んでいました。あるとき、いたずら心で石を投げたら、ヒヨドリが急にこっちに向かって飛びかかるようにきたんです。これに肝をつぶした記憶がなぜか残っています。
  
 しかし、それからは、鳥との縁はありませんでした。会社勤めで猛烈に働いていた30歳台に、妻が私の体を心配しまして、気分転換させようと野鳥の会のことを調べて勧めてくれたんです。これが野鳥の会との出会いです。妻とはよく一緒に参加しました。しかし、今のように鳥に深く興味を寄せるようになるのは、あるきっかけがあったのです。
 
 田んぼに囲まれた家に住んでいたころ、早朝に外で「デデポッポ・デデポッポ」という鳴き声がするのです。出てみると、二羽のキジバトが黙々とイネの落ち穂をついばんでいました。そのけなげに生きる姿に深い感動を覚えました。野鳥の魅力の虜になったのはそれからです。 
岩本氏
 岩本 昭廣 (いわもと あきひろ)71才
 東大阪市五条町に在住。 30歳代から鳥に興味をもち、現在は東大阪野鳥の会 会長として活躍。池島・福万寺カワセミ楽会のスタッフとしても活動。東大阪市文化連盟会員
 
 
  みなさんに野鳥を紹介するのが大切な仕事の一つ


野鳥観察会
 市民のみなさんに、野鳥や自然の様子を知ってもらおうと、“グリーンガーデンひらおか”が主催する「野鳥観察会」の企画に協力しています。

 野鳥の観察というのは、草木の観察と違って、ある時期に行けば見られるという保証はありません。相手は動きまわりますので、姿は見せてくれても、さえずりを聞かせてくれるとはかぎりません。またその反対もあります。でも、何回か通ううちに、チャンスが訪れます。そのときは、とてもうれしいものです。ぜひみなさんも参加して、その喜びを味わって下さい。
 このほか、野鳥の会では、独自の野鳥の観察会や写真撮影を通して、その生態や現状を把握することに努めています。生駒山で観察できる鳥の一覧表も作成しています。
 また、枚岡公園事務所の山の案内書作りに協力したり、学校の子どもたちに講師としてお話したりしています。まず、みなさんに知ってもらい親しんでもらうことが、自然との共生の第一歩だと思っています。
 
  小さな生き物の代弁者でありたい

 私たちは、蚊が出るから草を刈ってほしい。毛虫が出たから殺虫剤を撒いてほしいとごく当たり前に思っています。しかし、安易に殺虫剤をまいたり環境を変えたりする行為は、多くの小さな命を追い詰めるということに想像力をめぐらせるのはむずかしいことです。
 
 その結果、たとえば国外との“渡り”で知られるアサギマダラという蝶は食べる草を失ったり、毒で死んでいたりすることは知らないままに過ごしています。それは、私たちが悪いというのでなく、自然の営みを知る機会が少ないところからきています。私たち人間は自然の一部ですから、もっとまわりの生き物の声に謙虚になり、共に生きることを学ぶ必要があります。
オオルリ幼鳥
オオルリ幼鳥
 
 自然により近い私たちが、物言わぬ鳥や小さな生き物たちの声をみなさんに知らせる努力を続けたいと思います。
 ここ数年、枚岡公園事務所と相談して、枚岡梅林に殺虫剤を撒くのをやめてもらいました。毛虫の駆除が目的でしたが、鳥ばかりか、まわりの生態系にもよくありません。殺虫剤を撒かないので毛虫は増えましたが、それを鳥たちがよろこんで食べに来てくれるようになりました。
 今の枚岡梅林は、鳥たちがひんぱんに来るようになり、梅の花と鳥の両方を観賞してもらえます。
  ( 力が及ばなかった悲しみ )
 
 たいへん残念なこともあります。それは、シギ・チドリの生息域を守れなかったことです。平地の池島・福万寺地区はかっては“野鳥の里”ともよばれるぐらい鳥が多く、シギやチドリ類もたくさん飛来していました。内陸の干潟ともいうべき貴重な環境だったのです。しかし、開発の波で環境は大きくかわりつつあります。私は、野鳥保護に取り組む「池島・福万寺カワセミ楽会(がっかい)」のスタッフの一員として。恩智川治水緑地の公園化に伴う工事が、鳥たちに配慮されるように願ってきました。
 
 カワセミ楽会のみなさんの10年来の献身的な保護活動により、野鳥の保護に大きな前進がありました。しかし、シギ・チドリに関していえば、安住の地を取り戻すことは出来ませんでした。一番弱い立場のシギ・チドリを守れなかったのはみんなの悲しみです。
今後、呼び戻すことができればいいのですが。


  生駒の森は鳥たちが作った自然林

ヒレンジャク
ヒレンジャク
 生駒の山は大半が自然林です。そして、この生駒の森には多くの種類の野鳥がすんでいます。この自然林は鳥たちが住むにはいい環境です。

 いろいろな種類の植物が生えていて、実の種類も豊富です。春の一瞬の山が萌えるときなどは、鳥のえさとなる虫が湧くようにあらわれます。人間が植えるヒノキかスギばかりの人工林では、こうはいきません。

 生駒の森は、見方を変えれば、鳥や小動物たちが長い年月をかけて育ててきたといえます。食べた実の種を鳥や小動物たちが山に播き続けてきた結果なのです。
森が野鳥たちを養い、野鳥たちが森を育てるという絶妙なバランスで成り立っている生駒山に、人間が無作法に入っていくことは避けなければいけないことです。

( 野鳥の生態に、ある変化が )

 生駒の森で、いつもと違うぞという現象が起きています。この冬の生駒の森には、鳥たちが食べる実がいっぱいなっているのに、鳥たちの姿が少ないのです。私たちは、ふつう、鳥の行動は餌との関係で理解していますが、今回の現象はすぐには説明がつきません。
 今まで観察されたものが見られなくなっている種類もあります。たとえば、去年、この辺りにいっぱいいた“ウソ”の群れが今年はいなくなっています。短絡的に地球温暖化のせいにするわけにはいきませんが、大きな変化があるのは事実です。生駒の山の問題だけではないかもしれません。さらに観察をつづけ、記録をとりたいと思います。
キビタキ
キビタキ
  ( 外来獣の繁殖が問題に )

 最近、イノブタの被害が深刻化しています。八尾の方の畜産農家で飼われていたものが繁殖し、今では生駒山系に生息域を広げています。観察会で山に入ると、いたるところに土を削ってえさをとった跡がみられます。虫ばかりでなく、草や木の根も食害にあっており、今までの環境が大きく変わる可能性があります。
 また、地面に巣をつくる性質のあるキジやヤマドリが激減しており、卵がイノブタに奪われている可能性もあります。人間の不注意が招いた災禍といえます。


  これからの夢や目標
 見た目にはわかりませんが、実は、生駒山は乾燥しています。山に降った雨は、急流となってすぐに流れ去ってしまい、山の保水力が弱いのです。野鳥たちは、水たまりを見つけては喉をうるおしています。
 先般、山中の壊れて涸れはてていた防火貯水池が修復されました。池に水を湛えるようになったとたん、多くの野鳥たちがどこからともなく集まってきて水を飲むようになりました。生駒の山は、鳥たちにとって水不足であるという予想が、現実で証明されました。
 私の夢は、野鳥たちが水を飲める場所をもっとふやしたいということです。
アカハラ
アカハラ

 インタビューを終えて

 インタビューの場所となった“グリーンガーデンひらおか”の玄関ホールには野鳥の写真が展示されている。モニターで鳥の映像や鳴き声も視聴できる。鳥のさえずりがホールに響いて森の中の雰囲気が漂う。
 
 岩本さんは、山の鳥と水鳥の観察では使う双眼鏡の種類が違うことや、撮影のポイントは鳥の目にあるということなども教えてくれた。インタビュー中ずっと背筋が伸びていて姿勢は崩さなかった。
よき理解者であった奥さんを数年前に亡くされた岩本さんは、生駒の森に一番近いところで鳥の声に囲まれながら暮らしている。
 インタビューが終わっての別れ際、山にはみぞれまじりの雪が降っていた。私が、「こんな日は、小鳥たちはじっとしているのでしょうね」と話をむけると、岩本さんは「鳥はね、一日食べないと死んでしまうんですよ。こんな日でも頑張ってえさをさがしています。」と返した。慈しむような目で生駒の山を見上げる姿がとても印象的だった。

                                      記事: 楢よしき 
                                   写真提供: 岩本 昭
                                           グリーンガーデンひらおか
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