|  2018年3月10日掲載 
 
 
 
 
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                  |  海上保安庁・地震調査推進本部の図より
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                  | 東日本大震災から7年がたちました。街の復興や原発事故の収束は「道半 ば」。いまだに避難されている方々の生活の安定も大切となっています。
 3月11日を迎えるにあたり、過去の震災・防災の記事を掲載します。
 また、災害は他人ごとではありません。私たちが住む東大阪はどうでしょ
 うか?下段に「東大阪・防災への備え」の記事を再録しました。ご参考にな
 れば幸いです。
 
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                      (過去の関連記事)
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                        |  写真:川口泰弘氏提供 クリック:拡大
 |  これは、生駒山土砂崩れの崩落現場。先日、3月7日の
 写真です。小規模崩落がそこ
 かしこにあり、この現場は中
 規模に崩れ、川を一時期堰き
 止めています。
 土砂災害リスクが高まって
 おり、生駒山の巨石が密集し
 ているエリアで大規模崩落が
 発生すると甚大な被害が想定
 されます。
 (川口氏談)
 
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                  | いつ起きてもおかしくないのが南海トラフ巨大地震。以前 は、30年間でおきる確率が60%〜70%といわれていた
 ものが、先日の発表では、70%〜80%に跳ね上がってい
 ます。上記の場所などは、ひとたまりもなく崩落すると考え
 られます。官民の力を合わせた対策が必要です。
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                  |  再録:2012年3月7日記事
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                  | 忘れてはいけないこと! | 
                
                  | この3月11日(日)で、東日本大震災からまる一年が経ちます。災害で亡
 くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また遅れている復興対策や原発
 災害対策が、これ以降、人々の期待に応えて迅速に進むよう強く願います。
 
 
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                  |  大地震と巨大津波による被害    写真:辻恵子氏提供
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                  | 
                    
                      
                        |  東大阪市から緊急消防援助隊派遣
 写真:消防局予防広報課提供
 | 日本は、世界でも特異な「地震国」です。先般、新聞紙上で、「マグニチュード(M)7級の大地震が4年以内に起こる確率は70%」という東京大学地震研究所の試算が報じられました。昨年の大地震で、日本列島全体にかかる力のバランスが変化して、列島全体が太平洋側に引っ張られて不安定になっているようです。
 
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                  | 私たちとしては、被災地復興をめざすとともに、わがまち東 大阪の震災対策を真剣に考える必要があるのではないでし
 ょうか?!
 
 
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                  | 近畿圏はどうか? 
 
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                  | 地震には二つのタイプがあるといわれています。一つは、活 断層による「直下型地震」。もう一つは、プレートの動きによっ
 て起きる「海溝型地震」です。海溝型が直下型を誘発し、連動
 することも考えられます。
 
 
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                  |  <資料>活断層等による地震の重ね合わせ震度分布 中央防災会議     クリック:大阪の詳細図
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                  | 
                    
                      
                        |  <資料>内閣府・防災担当  クリック拡大
 | 上の地図は、活断層によ る「直下型地震」での各地
 の揺れやすさの予測を示す
 ものです。
 私たち東大阪にもっとも近
 い活断層は「生駒活断層」
 と「上町活断層」です。
 左の図は、上町活断層帯
 でM7.6級規模の地震が
 発生したときの被害予測の
 一例です。
 この通りになるというわ
 けではありませんが、こう
 いう判断もあるという参考
 にしてください。
 
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                  | 
                    
                      
                        | 右の図は、プレートの動きによる「海溝型地震」の予測図です。
 
 南海トラフ沿いの、南海地域(X)・東南海地域(Y)・東海地域(Z)の3つの地震帯が示されています。
 
 今までの地殻の歪の蓄積からして、この3つの地域で同時に地震を起こす「連動型巨大地震」の可能性を示唆しています。ある研究では、30年以内に起きるといわれています。
 
 
 
 |  資料:防災システム研究所
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                  | 列島の状態から、関西そして東大阪は、「決して安心を保証 されていない」という前提で考える必要がありそうです。
 
 
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                  | 東大阪は・・・? | 
                
                  | 
                    
                      
                        |  | 菅野耕三さんに聞く 
 今年の1月、「東大阪市防災講演会」(主催:東大阪市、地盤工学会関西支部)が開催されました。
 そこで講師の一人を務められた菅野耕三さんを、自宅のある奈良県北葛城郡広陵町に訪ねました。
 
 
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                        |  
 菅野
 さん
 
 
  | よろしくお願いします。
 
 
 遠いところ、ご苦労さまです。
 
 
 早速ですが、今回の東日本大震災についてお聞かせ下さい。
 
 |  
                        | 菅野耕三氏 プロフィール 大阪教育大学名誉教授・専門は地質・古生物学
 日本列島の形成史を研究し、地盤災害に精通。
 執筆・講演活動のかたわら、小・中・高校への
 「出前」授業を行い、若い世代の育成に尽力さ
 れている。
 
 | 菅野
 さん
 | 率直にいって、貞観地震(869年)の研究成果が生かされていないのが残念です。阪神淡路大震災でも、故藤田和夫(大阪市立大名誉教授)さんらの「六甲変動」の予知研究が生かされませんでした。
 |  | 
                
                  | 
                    
                      
                        |  
 
 菅野
 さん
 
 
 
 
 
 
  
 菅野
 さん
 | 阪神淡路大震災の時はどんな研究活動をされていましたか?
 
 調査団の一員として被災地に入りました。被災者の方から、「こうなる前に、なんで地震のことを知らせてくれなかった」と、厳しい言葉が返ってきました。そのことがきっかけで、今の活動があります。
 
 そうだったんですか!今回、東大阪市民にも基礎知識をぜひお願いします。
 
 それでは、活断層、軟弱地盤、浸水の話をします。
 
 
 
 |  小学生を前に「出前授業」のようす
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                  | 
                    
                      
                        | 活断層について | 軟弱地盤について | 浸水について |  
                        | 東大阪には何本かの 活断層からなる生駒活
 断層帯があります。東
 西からの圧力で生駒山
 の西側はせり上がり続
 けています。
 奈良側はなだらかで
 大阪側は急斜面なのは
 そのためです。活断層
 ですから、いつか大き
 く動くことを想定する
 必要があります。
 おまけに、山裾は1
 億5千万年前の花崗
 岩で、風化がすすん
 でいます。がけ崩れな
 どの危険に備えるべ
 きです。
 
 | 大阪平野は、もと もとが海の底です。
 泥や砂礫が何層に
 も重なった軟弱な
 地盤で、液状化が
 懸念されます。
 東大阪にはその中
 でも、鋭敏粘土層
 というひじょうに柔
 らかな地盤が多く
 あります。また、造
 成地では、盛り土
 をした境界や、地
 層が走る方向に並
 行する斜面側(流
 れ盤)は気をつけ
 る必要があります。
 私たちは造成地の
 現場にも出かけ調
 査します。
 
 | 直接地震とは関係あり ませんが、東大阪は浸
 水しやすいところです。
 浸水対策は進んでいる
 ようですが、近年の雨の
 降り方は尋常ではありま
 せん。マンホールから水
 が噴き出すということも
 想定する必要がありま
 す。流れる水は危険で
 すから、外に出ず、家の
 高いところに避難してく
 ださい。
 集中豪雨による地す
 べりも警戒する必要が
 あります。
 
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                  | 
                    
                      
                        |  
 菅野
 さん
 
 
 
 
 
 
  
 菅野
 さん
 
 
 | 市民のみなさんに日頃心がけてほしいことがありましたら。 
 家具の固定、水の確保、家族の避難場所の確認など普段から自分を守ること
 を心がけてください。日頃から、アメやチョコレートをポケットに入れておくだ
 けでもいざというときのカロリー補給になります。
 阪神淡路大震災では、ある町で家屋の倒壊が起き、たくさんの方が生き埋め
 になりました。けれども一人の死者も出さずに全員救出されました。町の防災
 意識が高く、住民をしっかり把握していたためです。町の共助も大切です。
 
 どうもありがとうございました。
 
 
 お役に立つなら、どこにでも出かけるつもりです。
 
 
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                  | 普段の心構えとは・・・ 
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                        |  東大阪市消防局全景
 | 菅野さんのおっしゃる普 段の心構えを体験学習がで
 きる貴重な場所が東大阪に
 ありました。若江岩田駅の
 北にある東大阪市消防局防
 災学習センターです。
 市外からも多くの利用者
 が訪問されます。
 
 
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                  | 取材に訪れたこの日は、東南アジアから来日し、大阪で働き 学ぶ人たちが来館されていました。その方たちに同行取材させ
 てもらいました。館内の様子を動画でご覧下さい。
 
 
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                  |  | 
                
                  | 体験学習後の感想は? | 
                
                  | 
                    
                      
                        |  ミー・ティエン  ユオン・ユン  清村ロアン
 敬称略  (通訳)
 | ミー・ティエンさん ベトナム(23歳)
 
 火事の時の消火
 や、地震の時にす
 るべきことがわか
 りました。
 役に立つことを
 楽しく勉強できま
 した。もしものとき
 覚えたことを役立
 てたいと思います。
 
 | ユオン・ユンさん ベトナム(20歳)
 
 日本に来る前か
 ら地震が多いこと
 は知っていました。
 今日は、おもしろ
 く体験できました。
 地震になったら、
 どうしたらいいか
 方法がわかりま
 した。
 
 
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                  | 
 
                    
                      
                        | この防災学習センターは20 08年(平成20年)に開館しのべ
 4万1千人の来館者があるとい
 います。個人だけでなく団体で
 の来館も多いようです。
 消防局予防広報課司令長
 立花充司さんは、「災害の怖
 さをあらためて認識してもら
 いたい」と、油断を戒めます。
 自分たちを守る方法を学べ
 る施設を活用しましょう。
 防災学習センター案内ページ←クリック
 
 |  地震体験コーナー
 みなさん固まっていました。
 |  | 
                
                  | 
 | 
                
                  | 町の防災を目指す | 
                
                  | 
                    
                      
                        |  活動成果発表会にて
 | 先日の3月3日(土)、市 役所で行われた地域まちづ
 くり活動成果発表会で、市
 民サイドで町の防災に取り
 組む団体と出会いました。
 新池島で活動する「2019
 RWC・ShinIkeshima・
 『遊』・Space」。通称「新
 池島・街づくり研究会」。
 篠原正さんに話を伺いま
 した。
 
 |  | 
                
                  | 篠原さんは、「新池島は、津波以外のすべての災害に備えな いといけません」と語られます。多少、オーバーにしても、市
 の危機管理室が発行している「ハザードマップ」では、確かに
 洪水の危険地と評価されています。
 
 洪水・土砂災害ハザードマップ一部←クリック
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                  | 
                    
                      
                        | 自治会と連携しながら活
 動する「研究会」は、防災
 の講演会を開いたり、住民
 同士の助け合いや交流を
 すすめたりしています。
 また自治会・防災対策委
 員会(西 毅委員長)が主
 導して、自治会として防災
 中心の放送設備を設置し
 つつあります。「研究会」は
 、その後方支援をします。
 今後は、近大・脇田教授
 グループとも連携し、自治
 会ぐるみで、自ら、「防災
 モデル地区」とする計画。
 災害は完全には防げない
 が、努力により、かぎりな
 く減災できるというのが篠
 原さんたちの考えです。
 前出の菅野さんが指摘す
 る「共助のまちづくり」の
 動きに注目です。
 
 
 
 |  自治会防災担当の西 毅さんとともに、総合的な街づく
 りを提案する 篠原正さん
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                  | 
                    
                      
                        |  市危機管理室発行
 | 取材を終えて 
 人間は忘れやすいものです。といっても、一年前の大震災を忘れている人はいないでしょうが・・・。しかし、油断は禁物です。「たえず意識を喚起し、備えておく必要がある」と、防災学習センターで指摘されました。でも、簡単なようで難しいことです。まず、一人でできることから始めましょう。皆さんの手元にあるハザードマップを開いてみましょう。あなたの住む地域はどんな評価がされていますか?一次避難所はどこですか?地図を見ているうちに、「もしも今、大きな地震が起きたら?愛する家族はどうなる?」と、不安に駆られるはずです。普通は、「なあに、すぐには起きないさ!」と、不安を打ち消して終わります。たしかに、一人で抱えるには不安が大きすぎます。そんなとき、不安を共有する家族や地域があれば、それに立ち向かう勇気が生まれるのではないでしょうか?防災は、家族、地域、市ぐるみ、みんなで立ち向かいましょう。学校、公共施設などの防災対策、インフラの整備は、行政や議会が率先して取り組んでいただきたい。
 ルポ:楢よしき
 
 
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